前回は、創業ステージにおける人材力をアップするために、「効き脳」とハーマンモデルをご紹介しました。
今回はさらに、チームをうまく機能させるための効き脳の活用方法をご紹介します。
ハーマンモデルの効き脳を使って、「クリエイティブプロセス」に沿って人が動くと、チームがうまく機能します。
前回書いたように、対極のタイプ(AタイプとCタイプ、BタイプとDタイプ)では衝突してしまったり、なかなか理解し合えなかったりする場面が出てきますが、チームのメンバー全員が同じタイプならよいかというと、そうではありません。
みんながアイデアを出して「いいね、いいね」と盛り上がっても、ミーティングが終わった時に計画や予算など具体的なプランがまったく出ていなかった、というようなことでは仕事は前に進みません。
全員が同じ単純作業をするのであれば、同じタイプで揃えるのも悪くはないですが、たいていの仕事はクリエイティブな要素があるものです。
クリエイティブな仕事には、チームメンバー全員が協力して活動する「協働」が不可欠です。
クリエイティブプロセスは、メンバー全員が各タイプの能力を、適したタイミングで発揮できるひとつの例です。
1.まずDがアイデアを出します。 ↓ 2.次にAが「そのアイデアを実現するにはどうするか?」という設計図を描きます。 Aは設計図を描くのは得意ですが、人を巻き込むのが苦手なので、そこはCに任せます。 ↓ 3.Cはお互いにコミュニケーションをとって進めていくのが得意です。 Aが描いた設計図をもとに、チームメンバー全員を巻き込んでプロジェクトを進めていきます。 ↓ 4.ここでもう一度Dに「その方針で合っているか?」と確認をします。 方針を確認するのは、計画的に物事を進めるのが得意なBに任せるためです。 ↓ 5.方針の確認ができたら、計画を進めるのはBに任せます。 あとはゴールまで一直線です。
実際の現場でよくあるケースは、Dがアイデアを出して、Aが設計図を描き、そのあとトップダウンで実行してしまうものです。
トップダウンで「決まったんだからやれ!」とメンバーに押し付けてしまうと、まったく共感を得られず、うまくいきません。 D→A→C→D→Bという順番でプロセスを踏むとうまくいきます。
すべてのタイプのメンバーが必要です。 それぞれ強みがあり、活かしながらチームを組み立てていくことが大切です。
そのチームで自分はどこを担うのか? 効き脳のタイプをわかっていると動きやすいのです。
お客さんと自分のタイプが同じかどうかを知っておくと、コミュニケーションをうまくとることができ、望んだ以上の結果を得ることもできます。
ちなみに、プライベートでも、家族や旅行に一緒に行く人はどのタイプなのかを知っておくと、円滑なコミュニケーションの一助となります。
チームビルディングのポイントは、
・人はそれぞれタイプが違う ・それをわかった上でコミュニケーションをとる
ということです。
先ほど述べてきたタイプは、性格とは違います。思考特性や考え方の癖というものです。
タイプによって思考の癖が違うので、どういうふうにお互いに共通ゴールをイメージして進めていくかが大事です。
ある会社では、会議でアイデアが出ずに困っていました。
ところがそこには、Dタイプの人がいたのです。 ただ、そのDタイプはアルバイトでした。
立場に縛られて、「自分が発言してはいけない」と思っていたのです。
でも、Dタイプでないとアイデアが出てきません。
「かまわないから、アイデアを出してみて」と促したところ、その人の口からどんどんアイデアが湧き出てきました。
もちろん、前提として、ビジョンが共通して認識されていなければなりません。 アイデアをどんどん出すのと好き勝手に言うのとは違います。
誰が何をするか、役割を決めておくとよいでしょう。 どのタイプがリーダーになるかで、チームの動きが変わってきます。
Cは人に気を遣いすぎてしまうため、思うように動けません。 Bは定石通りのことしかできない傾向にあるため、思い切った判断が苦手です。
結果としてAやDがリーダーになることが多くなります。
効き脳を使ったクリエイティブプロセスという手法と、立場にとらわれずにタイプの特性を活かすことをご紹介しました。
・対極のタイプが対立しやすいからといって、同じタイプだけで人材を揃えてもうまくいかない。 ・クリエイティブな仕事には、チームメンバー全員が協力して活動する「協働」が不可欠。 ・4つのタイプを踏まえたクリエイティブプロセスを使うと、チームがうまく機能する。 ・各タイプの能力を踏まえて役割を決めると物事が進む。 ・時には立場に関わらず、各タイプの特性を活かした行動を求めると、チームが動くようになる。
効き脳のタイプ診断やクリエイティブプロセスについて、ご興味を持たれた方はいつでもご相談ください。
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