今回は創業ステージにおける【関係力】を高める方法、「傾聴」についてお伝えします。
「傾聴」とは簡単に言ってしまえば「話を聞くこと」です。 聞き方には4通りあり、3つの目線があります。
4つの聞き方 ①「相手」に関心が向いていない ②「相手」に関心を持つ ③「相手の関心」に関心を持つ ④「相手の関心」と「自分の関心」をテーブルの上に置いて、共通点・相違点について関心を持つ
3つの目線 ①自分目線 ⅰ.自分に矢印が向いている ⅱ.相手に矢印が向いている ②相手目線 ③俯瞰目線
聞き方と目線を組み合わせながら、説明していきましょう。
話す相手がいるのに自分に関心が向いていて、相手の話は音として聞いているだけです。 相手の話は聞き流しており、「このあと何しようかな」など、自分のことを考えている状態です。
相手には向き合っていますが、相手の言っていることに対して、「話が長いなぁ」「緊張しているみたい」など、自分目線で相手を評価分析しています。
相手が何を思ってそういう話をしているのか、相手は何をもとに判断して話しているのか、相手がどんなことに興味を持って話をしているのか、自分が相手の立場に立ってみて、話を聴いている状態です。
「新しくリーダーになったから、マネジメントの勉強をしているんだね」など、自分目線は横に置いておいて、相手の目線と同じ位置で、相手が見ている世界を自分も見ようとしています。
これが傾聴です。
「相手の関心」と「自分の関心」をテーブルの上に置き、「自分の知らない人からしたらどう見えるだろうか?」と俯瞰して客観的に見ながら聴く状態です。
そうすると、相手と自分との共通点や相違点が見えてきます。
このように傾聴を意識してコミュニケーションを取って行かなければ、「自分は正しい」とか「なんでやってくれないんだ!」と、いつまでも相手のことを理解できないし、こちらのことも伝わりません。
傾聴することで、違うタイプの相手でも「こうすればもっとうまく、もっと気持ちよく一緒に仕事ができる」というヒントが見つかるかもしれません。
俯瞰目線は難しいかもしれませんが、少なくとも相手目線を意識して話すようにしてみましょう。
傾聴を心がけて一生懸命話を聞いていても、相手から「この人、話を聞いてくれているのかな?」と思われてしまったら残念ですし、コミュニケーションがうまく成り立っていないことになります。
相手が「自分の話を聴いてもらっている」と思うのはどんな時なのでしょうか?
次の3つの聴き方を心がけると、「話を聴いている」ことを示すことができます。
「なるほどね」「うん、うん」など、相手が「自分のことを聴いてくれているんだ」ということが認識できるように、うなずいたり、あいづちを打ったりします。
相手に、姿勢や話すスピードを合わせます。 相手が腕を組んでいたら、自分も腕を組む、といったことです。
わざとらしく動いてしまうと「からかっている」と思われ、不快な気分にさせてしまい、逆効果になるので、自然な動きで相手に合わせます。
相手と同じ行動をするのは「同調行動」と言われ、「この人は共感してくれている」と相手にメッセージとして伝わります。
話すスピードを合わせるのも同調行動です。
早口の人には早く話し、ゆっくり話す人には同じようにゆっくりと話します。
これは、相手の言葉を反復することです。 「昨日の残業、大変だったんです」と相手が言ったら「昨日の残業、大変だったんだね」と、相手が言った言葉を繰り返します。
相手の「聴いてもらっている」という感覚が高まる効果があります。 これも、相手に違和感を持たれないように、あいづちを入れるなどして、会話の中で自然な流れになるようにしましょう。
実は、これら3つの聴き方は、テクニックではなく、あくまでも「自分が聴いていることを伝えるため」の自己表現です。
相手の眼線に立って、しっかり傾聴しているつもりでも、このような聴き方をしていないなら、相手からは「本当に話を聞いてくれているのかな?」と疑問に思われているかもしれません。
この3つの聴き方は、相手に「共感して聴いているよ」と伝える表現方法なのです。
メラビアンの法則は有名な法則なので、知っている人も多いかもしれません。
一般的には、「見た目がすべて」と言われます。 重要度は、視覚が55%、聴覚が38%、話の内容が7%と言われています。
しかし、見た目だけしっかりしていればいいかというと、そうではありません。 視覚・聴覚・話の内容の3つの印象が整っていないと、人は違和感を持ちます。 その違和感を持ったときの優先順位が、視覚が一番高い、ということなのです。
見た目だけ気を付けていればいい、ということではなく、この3つが揃っていることが大事です。
例えば、社員研修の講師が、大きな声で話す人で、話の内容も面白そうな先生だったとします。
ところが、背広をだらしなく着ていて、髪もボサボサ。
このような見た目では「この先生の言っていることは本当に正しいのかな? 信用できるのかな?」と余計なバイアスがかかってしまうこともあります。
視覚・聴覚・話の内容の3つが整っていないと、私たちは違和感を持ってしまうのです。
3つの情報に一貫性があるからこそ、スムーズなコミュニケーションを行うことができます。
相手に関心がないと、私たちは本当の意味で話を聴くことができません。
相手の立場で考える、その人のバックグラウンドがなぜそう思うのか知る必要があり、共感できるのです。
そうすれば、自然に「へ~」とか、うなずき、あいづち、手を叩くなどのリアクションや、「それってどういうこと?」といった深掘りするための質問が出てきます。 相手との呼吸も合ってきて、互いの話すスピードも揃ってきます。
しかし、いきなりそうできるようにはなりません。 まずは「なぜ相手がそういった話をするのか」という相手の興味を理解しましょう。
「相手が何に興味を持っているのか」ということは、すなわち「相手を知る」ということです。
相手がどういう人かを知るところから始めてみましょう。
今回は「傾聴」についてお伝えしました。
・傾聴とは「相手の眼線で、相手が見ている世界を自分も見ようとしながら聴くこと」。 ・傾聴を心がけると同時に、相手が「自分の話を聴いてもらっている」と思うような聴き方をする。 ・自分が聴いていることを伝える自己表現の3つの方法は、「うなずく・あいづちを打つ」「ペーシング」「バックトラック」。 ・視覚、聴覚、話の内容の3つの情報に一貫性があると、スムーズなコミュニケーションになる。 ・いきなりすべてはできないので、相手を知ることからスタートする。
社内コミュニケーションの改善についてもっと知りたい場合は、いつでもお気軽にお問い合わせください。
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