2024.03.07 コラム 承認-部下のモチベーションアップと自己改革を促す

今回は創業ステージにおける【関係力】の2回目、「承認」をお伝えします。

目次

 

マズローの欲求階層説

まず、「承認」とはどんな事でしょうか。

承認とは、「相手を心から認めること」です。

承認によって、部下の意欲や、前に進むためのエネルギーを引き出すことができるので、積極的に本人の自己変革を促すことができます。

「マズローの欲求5段階説」では、人が自己実現するためには、以下の5つのステップがあると提唱されています。

1.生理的欲求
2.安全の欲求
3.所属と愛の欲求
4.承認の欲求
5.自己実現の欲求

承認の欲求は何かというと、

自分が所属している組織から、価値のある存在と認められ尊重されることを求める欲求

です。

自分の存在を認めてもらった時にこの欲求が満たされます。

 

承認の三段階

承認には3段階あります。

・結果承認
・行動承認
・存在承認

結果承認とは、目標達成や試験の合格、営業成績など、文字通り結果に対して承認することです。
〈例〉
「あの資格試験に合格して、すごいね!」
「目標達成できたね。おめでとう!」

行動承認は、結果を出すためにどういう行動をしているか、行動そのものやプロセスを承認します。
〈例〉
「毎日、仕事の合間に勉強していたよね」
「いつもお客さんに連絡を取ってくれてありがとう」

存在承認は、その人の存在そのものを認めることです。その人がいるとチームの雰囲気が和やかになるとか、いるだけで勇気づけられるとか、その人の存在自体が価値あることだと認めることです。
〈例〉
「〇〇さんが職場にいると、明るくなるね」
「〇〇さんが自分のチームにいると、励みになるよ!」

どの承認の仕方が主流かは、時代によって違うようです。

昭和の頃の承認の仕方は、やることが決まっていて求められる結果も決まっていたから、結果を承認すればよかった。

しかし、平成になると、結果だけではなくプロセスにフォーカスしないと、自発的な行動を促せません。
行動承認が、平成の承認の仕方でした。

では、今はどうかというと、答えがない時代だからこそ、個性や強みを生かして、自分らしく活躍していくことが求められる時代です。

結果や行動だけではなく、存在承認が求められます。

これが令和の承認です。

この3つの承認はピラミッド構造になっているので、土台となる存在承認が非常に大切です。

もし、存在承認という土台がなく、結果だけを承認した場合、空々しく映ってしまいます。

例えば、資格試験の勉強をしているチームのメンバーに対して、

「おまえなんて、受かるわけない」

と思っていたのに、その人が合格したら

「おめでとう!」

と言う。

お祝いの言葉を言っても、本心とかけ離れたところで言っているので、すごく不自然に聞こえてしまいます。

本当にその人自身の存在を認めて尊重していないと、意味がないのです。
うわべだけ褒めても、承認したことになりません。

承認することでチームのメンバーが安心し、明るく元気になり、やる気が出てきて自発的になります。
自分の成長を実感できるので、さらに意欲的に活躍してくれることになるでしょう。

一方で、もし、承認されていないと感じていたら、

「頑張っても仕方ない」
「上司から認められない」

など疎外された気分や焦りを感じるかもしれません。

自分には価値がないと思ったり、うつうつとして攻撃的な態度をとったりすることもあります。

だから承認の大切さをわかってもらいたいのです。

 

承認を行う際の3つのポイント

承認を行う時のポイントが、3つあります。

1.事実を客観的に伝えること。

「こういう結果を出したから素晴らしい」という条件付きの評価ではなく、その人が努力してきたことや、どんな行動をしてきたのか、具体的な事実について伝えるようにしましょう。

「あの人より頑張っている」「みんなの中でどれくらいか」といった、余計な比較や条件は不要です。

2.タイムリーに承認すること。

良い行動をとった時など、即時に承認しましょう。
1ヶ月前、1年前の事を言っても、あまり効果はありません。

3.相手をよく見て本当に思ったことを伝えること。

大げさに言う必要はありません。
自分の言葉で、気持ちを込めて伝えましょう。

ふだんから相手をよく見ることが大事です。
相手を見ていないと、自分が感じたことを伝えることができないからです。

 

一番簡単な承認とは、日頃のあいさつです。
声のトーンや表情で、自分のコンディションが伝わります。
心をこめて挨拶をするところから、始めてみましょう。

「おはようございます」
「今日も一日よろしくお願いします」

という気持ちのよい挨拶を始めてみましょう。

 

まとめ

今回は「承認」についてお伝えしました。

・承認とは「相手を心から認めること」。
・承認によって、モチベーションを高め、自己改革を促すことができる。
・「マズローの欲求5段階説」では、《承認の欲求》は「自分が所属している組織から、価値のある存在と認められ尊重されることを求める欲求」とされる。
・承認には、結果承認、行動承認、存在承認の3段階がある。
・現在は答えがない時代であり、結果や行動だけでなく、存在承認が求められる。
・承認することで、チームメンバーが安心し、明るく元気になり、やる気が出て自発的になる。
・承認を行う3つのポイントは、①事実を客観的に伝える、②タイムリーに承認する、③相手をよく見て本当に思ったことを伝える。

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また、こちらの本には、承認についても書かれていますので、よかったら読んでみて下さい。
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