今回は創業ステージにおける【関係力】の2回目、「承認」をお伝えします。
まず、「承認」とはどんな事でしょうか。
承認とは、「相手を心から認めること」です。
承認によって、部下の意欲や、前に進むためのエネルギーを引き出すことができるので、積極的に本人の自己変革を促すことができます。
「マズローの欲求5段階説」では、人が自己実現するためには、以下の5つのステップがあると提唱されています。
1.生理的欲求 2.安全の欲求 3.所属と愛の欲求 4.承認の欲求 5.自己実現の欲求
承認の欲求は何かというと、
「自分が所属している組織から、価値のある存在と認められ尊重されることを求める欲求」
です。
自分の存在を認めてもらった時にこの欲求が満たされます。
承認には3段階あります。
・結果承認 ・行動承認 ・存在承認
結果承認とは、目標達成や試験の合格、営業成績など、文字通り結果に対して承認することです。 〈例〉 「あの資格試験に合格して、すごいね!」 「目標達成できたね。おめでとう!」
行動承認は、結果を出すためにどういう行動をしているか、行動そのものやプロセスを承認します。 〈例〉 「毎日、仕事の合間に勉強していたよね」 「いつもお客さんに連絡を取ってくれてありがとう」
存在承認は、その人の存在そのものを認めることです。その人がいるとチームの雰囲気が和やかになるとか、いるだけで勇気づけられるとか、その人の存在自体が価値あることだと認めることです。 〈例〉 「〇〇さんが職場にいると、明るくなるね」 「〇〇さんが自分のチームにいると、励みになるよ!」
どの承認の仕方が主流かは、時代によって違うようです。
昭和の頃の承認の仕方は、やることが決まっていて求められる結果も決まっていたから、結果を承認すればよかった。
しかし、平成になると、結果だけではなくプロセスにフォーカスしないと、自発的な行動を促せません。 行動承認が、平成の承認の仕方でした。
では、今はどうかというと、答えがない時代だからこそ、個性や強みを生かして、自分らしく活躍していくことが求められる時代です。
結果や行動だけではなく、存在承認が求められます。
これが令和の承認です。
この3つの承認はピラミッド構造になっているので、土台となる存在承認が非常に大切です。
もし、存在承認という土台がなく、結果だけを承認した場合、空々しく映ってしまいます。
例えば、資格試験の勉強をしているチームのメンバーに対して、
「おまえなんて、受かるわけない」
と思っていたのに、その人が合格したら
「おめでとう!」
と言う。
お祝いの言葉を言っても、本心とかけ離れたところで言っているので、すごく不自然に聞こえてしまいます。
本当にその人自身の存在を認めて尊重していないと、意味がないのです。 うわべだけ褒めても、承認したことになりません。
承認することでチームのメンバーが安心し、明るく元気になり、やる気が出てきて自発的になります。 自分の成長を実感できるので、さらに意欲的に活躍してくれることになるでしょう。
一方で、もし、承認されていないと感じていたら、
「頑張っても仕方ない」 「上司から認められない」
など疎外された気分や焦りを感じるかもしれません。
自分には価値がないと思ったり、うつうつとして攻撃的な態度をとったりすることもあります。
だから承認の大切さをわかってもらいたいのです。
承認を行う時のポイントが、3つあります。
「こういう結果を出したから素晴らしい」という条件付きの評価ではなく、その人が努力してきたことや、どんな行動をしてきたのか、具体的な事実について伝えるようにしましょう。
「あの人より頑張っている」「みんなの中でどれくらいか」といった、余計な比較や条件は不要です。
良い行動をとった時など、即時に承認しましょう。 1ヶ月前、1年前の事を言っても、あまり効果はありません。
大げさに言う必要はありません。 自分の言葉で、気持ちを込めて伝えましょう。
ふだんから相手をよく見ることが大事です。 相手を見ていないと、自分が感じたことを伝えることができないからです。
一番簡単な承認とは、日頃のあいさつです。 声のトーンや表情で、自分のコンディションが伝わります。 心をこめて挨拶をするところから、始めてみましょう。
「おはようございます」 「今日も一日よろしくお願いします」
という気持ちのよい挨拶を始めてみましょう。
今回は「承認」についてお伝えしました。
・承認とは「相手を心から認めること」。 ・承認によって、モチベーションを高め、自己改革を促すことができる。 ・「マズローの欲求5段階説」では、《承認の欲求》は「自分が所属している組織から、価値のある存在と認められ尊重されることを求める欲求」とされる。 ・承認には、結果承認、行動承認、存在承認の3段階がある。 ・現在は答えがない時代であり、結果や行動だけでなく、存在承認が求められる。 ・承認することで、チームメンバーが安心し、明るく元気になり、やる気が出て自発的になる。 ・承認を行う3つのポイントは、①事実を客観的に伝える、②タイムリーに承認する、③相手をよく見て本当に思ったことを伝える。
社内コミュニケーションの改善や人を活かすことについて、もっと知りたい場合は、いつでもお気軽にお問い合わせください。
また、こちらの本には、承認についても書かれていますので、よかったら読んでみて下さい。 ↓↓ 『プレイングマネジャー必須スキル 部下が勝手に活躍する魔法の質問 育成する原理・視点・行動がわかる』
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